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CLT-12 クラッチハブのリングを取り換える

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今回は、「クラッチハブのリングを取り換える」についてお話しします。

 

■リングの取り付け位置とその役割をご説明します。

クラッチには、外爪プレートと内爪プレートが内蔵されています。外爪プレートは、フライホイールやエンジンと共に回転します。

 

この外爪プレートと摩擦する内爪プレートは、クラッチハブやトランスミッション入力軸と共に回転します。

 

このように、外爪プレートから内爪プレートに伝えられるエンジンパワーをトランスミッションに伝達するための部品がクラッチハブです。

 

■リングの役目について
クラッチハブは、その外周にあるスプラインで内爪プレートと連結されています。今回取り上げるクラッチハブのリングは、クラッチハブから内爪プレートが抜けないように、連結状態を維持するための部品です。リングが壊れて内爪プレートがクラッチハブから抜けると、クラッチのスリップ、内爪プレート破損などの可能性があります。
このように、クラッチハブのリングは単純な形状の部品ですが重要な役目を担っています。


■リングの取り扱い注意事項について
また、リングは細いですが熱処理済みの丈夫な鋼線です。壊れることはほとんどありませんが、取扱方法によっては、その材料的な性質によって破損する可能性がゼロではありません。特に、下記のような取扱いが危険です。

 

1. リングの曲がりを伸ばして、再度折り曲げると折れる可能性がありますので、リングの再使用を避けて常に新品交換してください。

 

2. シングルクラッチ用の旧タイプの鋼線(Φ1.0、Φ1.2mm)については、特にカーボンクラッチの場合、クラッチハブが高温になった状態で走行停止するとリングが加熱・冷却されて焼きなまし状態となり、これを何度も繰り返すと劣化が進みます。通常走行でも折れる可能性がありますので、短時間で頻繁な半クラッチ、ドラッグスタートの繰り返しなどを行った場合は、クーリング走行した後に走行を停止してください。
ツイン、トリプルクラッチ用のΦ1.8mmの鋼線および現行のシングルクラッチ用のΦ1.6mmの鋼線の破損は起きていません。

 

3. 熱処理されていない低強度の鋼線をリングの代用にしないでください。エンジン振動によって短時間で折れる可能性があります。

 

■リングの取り換えの要領を動画でご説明します。

単純な構造で作業もすぐに終わるので、作業内容はご理解いただけたと思います。
リングでクラッチハブを厳重に締め付ける必要はありません。
リングの折り曲げを1回で完了させることが大変重要です。

今日のお話は、これで終わります。
それでは、皆さん、次回もまたよろしくお願いいたします。


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